“思春期“ とは・・・
心身ともに子供から大人に変化する時期のことで、もちろん人に寄りますが、一般的には10歳ごろから19歳ごろと言われています。
子供から大人へ、人生で一番大きな変化を遂げようとしているその途中の期間を意味します。それは身体的な体の変化も大きく伴い、そして精神的にも大きく変化を伴います。その大きな二つの変化に対して、変化していく本人自身も気持ちが追い付かず、戸惑い、悩み、自分でも自分が何をしたいのかわからなくなってしまう、思っている行動とは異なる行動をとってしまう、というような難しい時期でもあります。
これは成長における大事な過程であり、また伴うその迷いや苦しみの大きさは人それぞれ。ある人は思春期の子供の心の変化を「ジェットコースターのようだ」と例えたそうです。
ゆっくりゆっくり登って行ったと思ったら、急降下。その勢いでまた登ったと思ったら、今度はぐるっと一回転。やっと止まったと思ったら、後ろ向きで急発進・・・なんてことも。
一緒にいる周りの人間は、その速さと振り幅にヘトヘトになってしまうこともありますよね。
そのパワーと遠心力で飛ばされそうになってしまうこともあるかもしれません。思春期はそれほどに大きな心身の変化があるということです。しかしそうだとわかっていても、言い出すことは心臓が何個あっても足りないことばかり
「自分なんて何もできないどうしようもない人間だ」
「他の人はできたって自分にはできないのだからしょうがない」
「何をやってもうまくいかない、うまくいくわけない」
「どうせ、どうしようもない人生にしかならない」
「生まれてこなければよかった」
そして
「死」 という言葉を口に出すようにも。
これはただ「思春期」というだけでみんながみんな発言する言葉ではありませんが、何か歯車がうまく合わない場合や、少し糸が絡まった状態になってしまうと、このような発言を繰り返すケースが多々あります。
「うちの子はもうおかしくなってしまったのではないか」
「大切に育ててきたつもりなのになぜ」
そう悩まれていませんか?
大丈夫です、同じ様に思う保護者の方はとても沢山いらっしゃいます。この様になるまでには、ご両親や保護者の方、周りの方が気が付かない部分で掛け違えてしまったボタン、少しのほつれから複雑に絡んでしまった糸があったはずです。
私たちはお悩みを聞いて一緒に頑張りましょう、というだけのものとは違います。今の状態になった理由やきっかけ、日ごろの話し方や気にかけていることなどから分析をし、どういったものに反応し、どのように話し方や対応方法を変えることで、良い方向に向かうかを一緒に考えていきます。
では、何をすればよいか。
大切なことは大きく2つあります。
1.「仲間」である認識と定着
本人にとって自分が「仲間」であると認識してもらうために、努めることがまず一番に大切なポイントです。例えば母親であれば、その本人にとって母親が「仲間だ」と思えるように関係性を築いていくことが大切です。
「宿題しなさい」、「大学どうするの?!」、「将来についてちゃんと考えなさい」、と愛情をもって心配をしている言葉でも、「仲間」ではなく、「指示」、「命令」、「強制」という言葉に近い認識に陥りやすくなってしまいます。
なぜ、「仲間」だと思ってもらうことが大切なのか、大切な子供を守る「親」だという認識でもよいのではないか、と思われますよね。しかし「親」という立場はもちろん根底にあるまま、関係性は「仲間」であると認識してもらうことは思春期の子供たちにとってはとても大切になります。自分が本当に仲間だと思っているお友達や周りの人には「親」にするような態度はしませんよね。
「仲間」とは何でしょうか。
“心を合わせて何かをいっしょにするという間柄をかなりの期間にわたって保っている人”
(Oxford language参照)
心を合わせて、相手や目的のため、また利害関係なく互いのために一緒に行う間柄であることです。
親が何かをしてくれるのは当たり前、と思っているお子さんたちが多いと思いますが、「仲間」というのは一方通行ではありません。あくまでも双方向に互いが目的のために一緒に行動したり協力をする、というのが仲間です。
親は「なんでも自分のためにやる人」、または「やるべき人」ととらえている子供側の認識を、自分がやりたいことを一緒に考えたり協力してくれる「仲間」であると認識することで、自分のやりたいことに「協力してくれる人」という考え方に変わります。また協力してくれてばかりではなく、自分も相手のために何か協力できる事、を考え始めます。
お子さん側の意識は、協力をしてもらいたいのであれば、態度を改める必要があるということも自然に分かってくるでしょう。誰に言われなくても、仲間やお友達にはそのようにしていますものね。
その為には親側の意識も変えていくことが大切です。もちろんすぐに変わりません。小さなことから少しづつ変わっていくことで、少しづつ親側も子供側も仲間であることに慣れ始め、きちんと認識ししっかりと定着した時に、その「仲間」である安心感と居場所により自然と態度も変わってくるでしょう。
ではどのように接することで「仲間」だと認識してくれるのか。
それを一緒に考え、導き出していくのが私達です。
2.「能力がある事」の認識
もう一つ大切なことは、「自分には能力がある」という事に気づいてもらえる働きかけが大切です。これを私たちは「勇気づけ」と呼んでいます。日本人は謙虚で自分で自分をほめることは美徳とされていない部分がありますが、その国民性も相まって、「自分は○○ができる」、「自分は○○がすごい」と自信を持って言うことができる人は少ないと言えます。逆に、「私なんて全然だめだよ」、「私なんて何もできないよ」というのはとても簡単ですよね。
子供が小さいときは、何でもない小さなことが出来ただけで「すごい!できたね!」と何でも喜び何でも感激してくれていたことが、ある程度成長すると、「それくらい普通だ」、「平均点じゃないか」、「そんなの皆出来るだろう」「その程度で何を自慢しているんだ」、と言われてしまうことが多くなります。
2:6:2の法則で言うと、上20%がとても良い成績、真ん中60%が普通、下20%が悪い成績となります。この場合、ほめられるのは全体の上位20%だけということは、80%の人は褒めるに値しないということでしょうか。
大人が勝手に周りと比べて、ある一定のラインから上しか認めず、下は劣っていると評価してしまっているのです。
「でも成績が悪いのは確か・・・褒めようがない」と思われるかもしれません。
私たちは「褒めて下さい」と言っているわけではありません。「褒める」言葉を使うのは構いませんが、大切なのはその人その人が持っている能力を見つけ、それに気付いてもらえる「勇気づけ」です。
「この前よりも長い時間集中できたんじゃない?」
「先生にたくさん質問できるんだね!」
「ノートをまとめるのがうまいね」
「友達が本当にいっぱいいるね、話を聞いてあげるのがうまいのかな」
「人の良いところを見つけるのが上手だね」
小さなことでも何でもいいのです。
「能力=できる事」
をたくさん気付いてもらうことが大切なのです。
それにより、本人は
「そうなの?わたし他の人よりこれができるの?」
「もしかして私○○することが好きなのかな」
「他の人はどうなんだろう、見てみよう」
と自分の能力に興味を持ち始めます。
だからといって、急にそうしろと言われてもなかなか変れません。急にあなたが変わってもお子さんに気持ち悪がられるだけかもしれませんね。
少しずつ少しずつ、どういう目線で相手を見て、どんな部分をピックアップして、どうやって言葉として能力がある事を伝えていくのか、というものを実例などを交えて知っていきながら、少しづつ変わっていく事も大切になっていきます。
また「仲間」になる自分たち側も意識を変えて練習することも必要になってくるでしょう。
自分に能力がある事が少しずつわかってくると、今までの事はすべて自分が選んで行ってきたことだということにも気が付きます。人にひどい言葉を浴びせたことも、殻に閉じこもったことも、最終的には自分が選んでそうしてしまっていたことに気が付くでしょう。
そして、自分で選んできた結果に対し、親や人、環境や周りのせいにしたり、というのは自然としなくなっていくはずです。
相手が「仲間」である事がわかり
自分には「能力がある」と認識していくことで
自分自身に「自信」を持ち始めます。
「人は人、自分は自分」、人と比べず自分が選んだ道を進んでいく勇気を持つことにもつながっていくでしょう。
何かくじけそうになった時、辛いことがあった時、きっと一緒に悩んでくれる「仲間」(=あなた)がいる事を思い出します。失敗しても評価せず、安心してその居場所へ居られると感じ、また挑戦する勇気を持つことで、小さな丘を越えて、もう少し高い崖をのぼり、そして最終的には高い山も乗り越えるほどの自信につながっていくはずです。
<カウンセリング体験者の声>
実際に私が初めてカウンセリングを受け、アドバイスをいただいたときには頭ではとてもよく理解していましたが、すぐには言葉に出てきませんでした。
ああ言えばこう言う10代の思春期の子の言葉に対し、「だったらこうすればいいじゃない」、「それはそうしなかったのだから仕方ないじゃない」と大人の論理で瞬発的に返してしまうことが多かったのですが、繰り返し先生のカウンセリングを受けていくにつれ、まずはすぐ口から出てきてしまう言葉を一度ぐっとこらえて出さないようになりました。口から出る直前に止める事が出来るようになったというのが、すぐに分かった大きな自分の意識の変化でした。
まずは言葉に出す前にこらえて、代わりにその子の能力を見つける時間に費やし、どんな小さなことでもその能力を素晴らしいことだと伝えていきました。
相手は自分の子供ではなかったのですが、1週間単位で落胆したり大泣きしたり、1年以上にわたり常に情緒が不安定だった10代の学生に対し、少しづつ頂いたアドバイスをもとに実践し続けました。数回目から効果が明らかに見えてきました。常にネガティブで、自分は無理、できない、出来るわけない、と繰り返し言っていた子が、自分から「私は○○をがんばってるから」、「わかってる、わたしはこれを頑張ってるもんね」、「最近は自分で自分をほめてるんだ~」、という言葉が時々出るようになってきました。
初めてそんな前向きな言葉を聞いたときは、涙が出る思いでした。
それも一時的なものだろうと思っていましたが、定期的に話す機会を設け、また少しずつ回数を減らしながらも、常にその立ち位置をしっかりと持って接することで、辛いことがなくなったわけではないのですが、前向きな気持ちを常にキープしている様になりました。
こうしたら必ずこうなる、というものはありません。方程式のようなものもありませんが、ヒントは沢山あるはずです。少しでも当てはまる事があるのであれば、その今の状態をただ続けるのではなく、是非周りの大人の皆さんも一歩を踏み出していただけたらと思います。
思春期の心の変化は「ジェットコースターみたい」
ゆっくりゆっくり登って行ったと思ったら、急降下。
その勢いでまた登ったと思ったら、今度はぐるっと一回転。
やっと止まったと思ったら、後ろ向きで急発進・・・なんてことも。
でもジェットコースターはわくわくしたり、すっきりしたり、驚くような素晴らしい景色が見えたりもするはずです。
私たちが、あなたの「仲間」になります。
その悩みを一緒に考える「仲間」として、専門家の知識を頼ってください。